私が中学の時親父に連れられて北新地のゲテモノ食い専門の店に連れて行かれ、親父はコオロギの佃煮や芋虫の唐揚げなんかを注文していたんですが(すでに食い気0)隣に座っていた30代ぐらいのおっさん2人がその日に馬で勝ったらしくその店の時価って言う「猿の脳みそ」を注文しました。するとしばらくしてカウンターに小さな椅子に拘束された猿が置かれました。その猿の頭は頭蓋骨が切り取られ所々に血は付いているものの、うすいピンク色の脳が露出していてその猿はわめきもせずただ両目を左右に動かしていただけでした。私は怖くなって親父に店出ようと泣きながら言ってたんですが「ちょっとオモロイから見てよーや」とおっさん2人が食べるのを見たがっていたので私も渋々座っていた座布団を盾に片目で見てました。おっさん2人もさすがにビビッタらしく10分ぐらい「お前行けや!」となすり合いをしていました。結局注文したおっさんが食べる事になりフォークをその猿の脳みそに刺しました。刺したら絶対暴れだすと思ったのですが刺しても目は左右に動いたままで、なんの変化もなかったので私もちょっと怖くなくなりました。カラシ醤油に付けて食ったおっさんは「醤油の味しかせーへん」と言いながら少しづつ削って食っていました。しばらくすると猿は左頬が引きつってきて目がスゴイ勢いで動きだし、口を大きく開けて暴れ出したんです。次の瞬間、ゆっくり目を閉じて死んで行きました。今でもあの光景はトラウマになってます。猿の脳味噌をトンカチでみんなで叩き割って食べる映像ならテレビで観た。外国だった気がする。テーブルの中央の穴に猿が拘束されていて皆で叩く。最初は恐る恐るなのに後の方では凄いテンションで。人間って嫌だと思った。
生まれながらにして2ゲッターとしての素質を持っている親父にとって
俺はたんなるお荷物だったのかもしれない。
とうとう親父が生きているうちに2をゲットすることができなかった。
病院でいつ事切れるかも解らない親父のそばで
必死にF5キーを連打していたあの日から5年。
今ではF5キーも2キーも磨り減ってしまっている。
親父が天に召された後、偶然書斎で日記を見つける。
そこで俺は親父と血が繋がっていない事を知った。
もう2をゲットする必要すら無くなった
そう、俺は元々2ゲッターの素質なんて無かったのだ。
しかし俺はこうしてまた2をゲットしようとしている。
血が繋がってなくとも、俺の親父はあの人しかいない
今日は親父の命日だ。
墓には一人前の俺の姿と花を供えよう。
今、天国にいる親父と一緒に宣言する
「2」